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血液透析について

血液透析原理

血液透析は、血液と透析液の間にある半透膜(水分とごく小さな物質のみを通過する膜)を介して、水や物質の移動を行い、毒素を除去し不足物を補充します。 その原理は「限外濾過」と「拡散」と呼ばれるものによります。

 

限外濾過

透析器(ダイアライザー)の出口を狭くするように圧力をかけて、血液中の余分な体液(主に塩分・水分)を除去するというものです

 

拡散

ティーパックをお湯につけた時に濃さが均一となるという原理です。血液中の老廃物や電解質カリウム・リンなどが除去されます。反対に、カルシウムや重炭酸イオンなどは補充されます。

血液透析の方法

血管に2本の針を刺し、血液回路につなぎます。その血液をダイアライザーで浄化し、もう1箇所穿刺した血管を通して体内に戻します。 ダイアライザーは半透膜がストロー状に束ねられており、外側を透析液が、内側を血液が流れています。そこを流れる血液流量は毎分200ml程度を必要とします。そのため、十分な血液を供給するための血管を作成します。

一般的には、「内シャント」と呼ばれる動脈と静脈をつなぐ手術を手首の血管で行います。

手術後、動脈から静脈に血液が流れ、皮膚の表面に流れる静脈の血管が拡張し、穿刺することも容易になります。針は、血液を取る側(脱血)と返す側(返血)の2本刺します。

血液透析の通院

血液透析は透析施設に週3回通院し、1回3-6時間の治療を行います。

血液透析における副作用

 不均衡症候群

透析を始めた時には、透析中や透析終了後に頭痛や吐き気が起こることがあります。これは、血液から老廃物は抜けますが、しばらくの間、脳の中では老廃物が残っていて、脳内の圧力が上がってしまうことにより起こります。自然に回復するので心配はありません。

不均衡症状が出ないように、最初は透析の効率を落として行うようにしますが、症状が強い場合は、脳圧を下げる薬を使用することもあります。

血圧変動

透析中は血圧変動が起こる可能性がありますので、適宜、血圧測定を行います。血圧低下は、一時的な循環血液量の減少によるものが多く、生理食塩水の補充などで対処します。急に気分が悪くなる、冷や汗が出る、生あくびがでる、目の前が暗くなるなどの症状が出る時は要注意」です。

出血傾向

血液は体の外に出ると固まります。透析で使用する血液回路も「体外」であり、血液が固まらないように抗凝固薬を使用します。透析中ならびに透析後数時間、その影響が体内にも多少残ります。そのため、出血した場合には血が止まりにくくなるので注意が必要です。通常、抜歯や手術などは透析のない日に行います。

眼底出血など出血が実際にある場合には、出血傾向を助長しない抗凝固薬を使用して透析を行います。

シャント・トラブル

内シャントなどのバスキュラアクセスは、血管の狭窄や閉塞の可能性があります。シャント音が“ザーザー”“グーングーン”などの連続性の低い音であり、逆の手で血管の表面の振動を触れることができれば、シャントの流れは良好と判断できます。

逆に、シャント音が“キュン キュン”などと断続的で高い音で、スリルも弱いあるいは触れない場合には、シャント狭窄が疑われるので、早急に透析施設に連絡する必要があります。血液の流れを良くする薬を使用したり、狭窄した血管をカテーテル治療で拡張させる治療を行います。

長期透析による合併症

動脈硬化による心合併症、二次性副甲状腺機能亢進症による骨の合併症、透析アミロイドーシスによる手根管症候群や破壊性脊椎症などがあります。

血液透析における注意点

適切なドライウェイト(DW)の設定

透析終了時の目標体重をドライウェイト(DW)として設定します。 透析を始めるまで、特に腎機能が正常なときは、体重の増減は、「太ったか、痩せたか」によって自然に決まっていましたが、透析を始めると、透析ごとに機械的にDWで終了するので、「太ったか、痩せたか」がわかりません。そこで、約1ヶ月ごとに適正なDWを、むくみや血圧、心胸比(心臓と胸郭との比;CTR)などを参考にして決める必要があります。

例えば、DWがきつくなる(太ってくる)と、血圧は低下傾向になり、透析後半に足が攣ったり、耳鳴りなどが出現することもあります。また心胸比は小さくなります。

逆に、食事がうまく食べられなかったりすると痩せるのが普通ですが、DWをそのままにしておくと、身は痩せて、その分だけ体液が過剰なままの状態になり、血圧が上昇し、むくみが出現、心胸比が大きくなります。

体重管理

血液透析を開始すると、尿量が減って、透析と透析の間に体重が増えるようになります。この体重増加は、太ったのではなく、単に1~2日の「水分摂取量」と「尿量」の差に相当します。この増えた体重分を4時間の透析で除去する必要がありますので、あまり増えすぎると、急に血圧が下がったりして透析を行うこと自体が困難になります。

1回の透析での除水量は体重の3~5%以内が理想的とされています。60kgであれば1.8~3.0kgです。 この体重の増加は水分摂取量によりますが、水分だけを制限するのは非常に苦痛です。人間は「のどの渇き」に合わせて水分摂取をしますので、「のどの渇き」を起こさないようにすることが非常に大切です。「のどの渇き」は、血糖値が上がったり、尿素窒素が上がったりしても、感じますが、一番は「塩分を摂ったとき」です。

単純に計算すると、2kgの体重増加は、2リットルの体液が増加することになります。
血液のNa濃度を140mEq/Lとすると、 増加Na量は、140(mEq/L)x2(L)=280 mEqであり、1gの塩分はNaだと17mEqなので、280/17=16gに相当します。

このように増加する体重は塩分摂取量によって決まってくるので、体重増加が多い場合は、塩分摂取を控えるようにしないと、なかなか体重増加(除水量)を減らすことができないことがわかります。

これが2日間だとすると、1日当たり8gの塩分摂取をしたことになります。

食事制限

血液透析を始めたら、蛋白質摂取量は少し多めに摂ります(体重あたり1.2~1.4g)。塩分は上述のごとく、できるだけ控えるようにします(6g)。カリウム制限は、透析前の血清カリウム値にもよりますが、多くならないようにします。蛋白制限が緩やかになるために、食事中のリンはかなり制限する必要が出てきます。血液透析を十分に行っても、リンの除去は十分でなく、食事でのリン制限を行ったうえに、リン吸着薬などをきちんと服用することが大事になります。